第173章

「……それで、君は困らないのか?」

 そう訊かれて、アリシアは意味が掴めず首をかしげた。

「え? 」

 ユゴスは視線を外さず、落ち着いた声で続ける。

「婚約者のふりをしたら、君があとで好きな相手に出会ったときどうする? 噂って、何年も――下手したらもっと長く続くかもしれない」

 その問いは、以前に母親からも投げかけられていた。だからこそ、軽々しく決めたくないのだろう。

 アリシアは思わず笑ってしまった。

「それ、心配するならあなたのほうじゃない? どうして私に聞くのよ」

「恋愛沙汰ってさ、女性のほうが叩かれやすいだろ」

 ユゴスは淡々と言う。

「僕は男だ。婚約してたとして...

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